*何の為か

武道の技は、全て人殺しの為にある。




どんな簡単な、入門者が習うような技だって、熟練者が行えばそれ相応の威力を持つ。




頭部への当てならば、内部に浸透して脳に傷や出血をもたらすかもしれない。
腹部への当てならば、骨や内臓に損傷をきたす。
投げ技だって、手首関節やひじ関節の脱臼骨折。腰や背中、頭や首から落ちれば危険は免れない。




何故、世界に数多ある武術・格闘技の中で武術・武道と呼ばれる物が注目されているのか。




それは、殺める事の虚しさ・悲しさを知り、命の尊さを体現しているからだ。









武道の本質を知るためには、その虚しさ・悲しさを知らなければならない。




鍛えて練習して磨いて、古を学んで強くなって、そうして初めて人として強くなる。




その後誰かと笑い生きるのか、世間から離れて暮らすのか、悲しみを知り泣いて過ごすのか・・・それは人それぞれ。