生還

 8/4〜8/12までボランティアのキャンプ(山梨)と、千葉大少林寺拳法部の夏合宿(南伊豆)に行って来た。前者は新米職員の足りなさと、それに巻き込まれ連携の取れなかった僕達でグダグダした感じになってしまった。ごめんよ子供たち・・・・・来年は僕が指揮をとって今回のようなことは無くなるようにするからね。本当にごめん。

 一方、合宿のほうはと云うと、最高でした。泊まる環境はね。小浦にある民宿『花壇』てとこで、食事がマジやばい!!!味付けが昔ながらで、今の人にはちょっと濃い目。量は何処ぞの料理屋さんなみにあって、感動でした。もう一つ、嬉しかったことが・・・・・民宿のおばちゃんと、そのお孫さん。おばちゃんは群馬に住んでいる方で、旦那さんが寝たきりなのだそうだ。息子さんは父を背中に背負い「まだ歩けるもんな」といって家の中を歩いてくれるんだ、と誇らしげに語ってくれた。僕が過去に祖父の面倒を見ていたことを話すと「たいしたもんだねぇ」と誉めてくれ、「自分を信じるんだよ」と言ってくれた。感動して、思わず涙がこぼれた。
 お孫さんは、両耳に補聴器をつけていた。キラキラ光る星のシールが貼ってあって、とても可愛らしかった。たどたどしい言葉で、一生懸命家族や、生まれたての子犬をお友達にあげた事等を話していた。にっこりと、いい笑顔だった。

 
 合宿は、拳法部の『企画』がプロデュースする。下見から買出し、何か緊急の事態が起これば早急に行動する。今回担当したのは2年生三人組(と言っても、三人しかいないのだが)。一人(女)は、誰の目から見ても役立たず。ホケーっとしていて、周りから構われてニコニコしていて、ちょっとでも困った事があると「どうしたら良いかわかんないんですよ〜」。男の子1は松戸キャンパスに通っている超多忙。遊ぶ暇も無いほど忙しいのに、合宿にわざわざ途中参加してくれた兵だ。もちろん途中参加にもかかわらず、前述の女よりも全然仕事をこなす。男の子2(K君)は唯一西千葉キャンパスで頑張っている。今回の合宿のため、買出しやもろもろの手続きは彼がやってくれた。三日目の夜、肝試しがあった。2年生が各ポイントで参加者を脅かした。終って、一段落するとK君は民宿のロビーで寝た。僕は廊下で寝たフリをしていた。その時はまだ肝試しが終って興奮冷めやらぬ人達がおしゃべりに興じていたが、しばらくすると皆部屋に戻った。廊下の電気も全て消え、静かになったのを見計らい、僕はロビーの端にあるソファーに腰掛けた。案の定K君が隣に座った。すると彼は、泣き始めた。誰にも聞こえぬ程の小さな声で・・・。僕は彼の泣き声を聞いてあげることしかできなんだ。彼曰く「辛く、大変だった」そうだ。実質一人で今回の合宿を切り盛りしていて、遅刻・ドタキャン・途中下車・夕食の時間の変更等々、全て彼が責任を負った。さぞ辛かっただろう。上は誰も助けてくれないのだ。部外者である僕が出来る事といえば、情報収集ぐらいのものだ。松戸の彼は「僕が仕事を手伝えないから全部K君に責任がいってしまう」と震えた声で僕に話した。実際その通りで、運営がスムーズでないと上はK君に文句を言う。宿やバスの運ちゃんとの交渉も彼が行った。事前準備の段階から合宿が始まって今日この日まで貯めた物が、せきを切って溢れ出したのだろう。その日は朝まで二人で語り明かした。


結局、こういった企画事って担当した本人が楽しくないとつぶれちゃうんだよね。周囲もそういうことに気がついてあげないといけないのに・・・・・何のために『武道』を習っているのか、わからなくなっちゃうよね。



STAND BY YOU誰かのそばにいてあげる、たったそれだけの事かもしれないけど、実は凄い事なのかもしれない。